前田精肉店のコロッケ
37年続いている精肉店の魅力
その親子が来た道を戻るように歩いていると真っ赤なテントのお肉屋さんがあった
きっとここでコロッケを買ったんだな、、覗いてみるとおじちゃんが一人でせっせとお肉の下ごしらえをしていた。
コロッケを揚げている時間にご主人との会話が楽しくて、揚げたてのコロッケはとてもおいしかった
またおじさんに会いたくなったから、少しだけお話も聞かせてもらいました
精肉店はご主人の代から始めたんですか?
そうや~
-このイントネーションに人柄が溢れています。
おいくつの時からやってるんですか?
37年前やけに、なんぼだったかなぁ、、、 あのなぁ、一番最初は焼肉屋しよったんや 体がついていけんから、肉屋一本にしたんや ほんでな、大阪で10年ほど修行してきたんや
ご出身は香川なんですか?
宇多津ではないけど、香川や、飯山町の出身なんよ
焼き肉屋の前に修行されていたということですが、肉を見極めるような修行ですか?
そうやな、最初は肉の扱い方、どこを切れば肉が固い部分か、やわいところかいうてな あとは食べてみないとわからんしな 20代のころやったな、仕入れを始めたのは26か27の時やったな。
コロッケの秘密はやっぱり秘密
仕込みは時間がかかりそうですね
7:30からもう動き出しているな、学校とかに届けたりしとるからな お祭りの時はコロッケは1500個とか出るんよ宇多津の町は海に近く、海産物のイメージが強い。 お肉はどこから仕入れてくるんだろう
隣の坂出市で肉の品評会があってな、それに呼ばれてていくんや。やっぱりコロッケが人気あるんですか?先ほども買いに来ていたお客さんがいらっしゃいましたよね。
そうやなぁ、コロッケとささみが人気あるんや もうこの時間でも100個は売れたな。朝のうちに作ってるからな〜
-今は14時を過ぎたところだ 200個用意してあるんよ~と大きな冷蔵庫を指差して微笑んでいる
先日、コロッケを頂きました。玉ねぎがたくさん入っててとても甘くておいしかったです!
肉を切った日にだけコロッケを作る、昨日作ったから今日は作らん ジャガイモ25kgに対して、玉ねぎは7-8kg加えとるんや、あと肉やな。 味付けは秘伝やから教えられんけどな、あはは
これもな大阪で修行した時に学んだ味や このコロッケの作り方を教えたのは4人ぐらいにしか教えてない 教えたのも兄弟だけ 高松にもお店があって、飯山にもお店があってそこでも売りよんや もう兄弟は死んでしまったから、その子供がな、今も受け継いでやりよるんよ
さっき買いに来ていたお客さんはやっぱりコロッケを買っていったんですか?
そうや~あのひとはいつもあらかじめ電話で予約してくれて ここのコロッケじゃないといかん!言うて、20個買っててくれるんや。
町が便利になればなるほど、人情 から離れていくのかもしれない
新聞やテレビや週刊誌の取材もよく来るからな 新しいひともどんどん来てくれる、ひとかひとに広がっていくのが一番やな。 37年前にはまだ宇多津駅も、海側じゃなくて、すぐ近く内陸側にあったんよ 宇多津駅からここまで、、、この商店街には32軒もあって活気づいとったよ
今はもう8軒しかないのだそう 笑いながら言っているがやはり寂しそうだった。 最後にササミを揚げてもらったが、やっぱりもう一度コロッケが食べたくなって、 揚げてもらっている間にもう少しだけ話しをした。
16時35分に揚げるというメモが貼ってある 得意さんができているから毎日の売り上げは変わらない それだけ町のひとは飽きずに利用しているということなんだろう、いやきっとこのご主人とコロッケが揚がるまでの時間を楽しみに来ているのかもしれない この37年の間に大きなスーパーが4軒もできたから肉は売れなくなったよと明るく言う。 今度はイオンモールまでできる この前田のコロッケはイオンモールでも、スーパーでも買うことのできない人情味があるから きっと明日もシャッターは開いているはずだ。
住所:香川県綾歌郡宇多津町2072-5
定休日:日曜日
営業時間:8:00~19:00